高校教師の奮闘記録。

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この場ぐらい、本音で語らせてくれ。

嬉しかったこと

 

昼休みに、生徒が部活の引退報告をしてくれた。顧問だった訳ではないが、今までありがとうございましたと、澄み切った目で報告してくれた。

 

剣道部だったその子から、2年の冬頃に、相談を受けた。

部活が辛すぎて、本気で辞めたいと考えていると。試合で勝てないのも悔しい。進路は国公立大学志望で、今の学力だと厳しいと、自分でも客観的に分かっている。どうやら八方塞がりの状態だった様だ。元気印の子だったので、ポロポロと泣き出した時には、本当にビックリした。それほど思い悩んでいた事にも、きっと、苦しかったんだろうなぁと思った。

 

大丈夫。あなたが頑張り屋さんで、誰よりも真面目に部活と授業に取り組んでいるのは、よく分かってる。私だけじゃなくて、周りの友達や先生方も、絶対に分かっている。未経験の剣道部に入って、経験者と一緒に部活を続けられてきた事は本当にすごい事だと思う。今は辛いだろうけど、どうか、あなたらしく笑顔で、楽しむぐらいの余裕を持って、あと数か月頑張ってみて欲しい。ただ、部活を辞める事が悪い事ではないから、本当に辞めたいと思ったら、また相談して欲しい。きっと大丈夫だ。

 

そんな様な事を、その子には言った気がする。

相談を受けた場合は、マニュアルは無いと思っている。とにかく、その子の事を真剣に考えたうえで、誠意を込めて応えてあげるしかない。

 

部活を続けさせた事が良いのか悪いのか、それすらもケースバイケース。最終的に決定するのは本人だからこそ、教員側は、「部活を辞めたら辞め癖が付く」とか、「根性がない」とか、そういった悪の呪文を生徒には言ってはいけない。今後の生徒の人生に、取り返しの付かない洗脳を与えてしまいかねないから。

 

辛いときは、素直に辛いと言うこと。

仮に辞めてしまったとしても、心が死ななければ、また幾らでもやり直しができること。

この辺は、私が経験上知った事であり、過去の私が未熟故気が付かなかったこと。

 

引退報告をしてくれた子に、「部活を続けて良かった?」と聞いたら、「本当に良かったです。」と。胸を張って答えてくれた。

それが、その子にとっての正解だったのだろう。部活を通して成長してくれた事が、本当に嬉しい。

 

毎日毎日、学校では、何かしらの「ドラマ」が起こっている。

大人の目から見たら、「何そんな事で悩んでるんだ」と言いたくなるかもしれないが、当人にとってみれば、自分の存在意義を掛けて悩んでいる事も、珍しくない。

 

生徒一人ひとりを尊重して、真摯に応えてあげること。オンライン上ではなく、物理的にその場にいる、ということ。

 

私に出来る事はほんの僅かかもしれないが、「いざ」という時の為に、感性と教育的技術を磨き続けていきたい。