高校教師の奮闘記録。

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この場ぐらい、本音で語らせてくれ。

抜けない異国アクセントに惹かれて

 

小学校から中学校にかけて、ブラジルから転向してきた日系人の友達がいた。名前をジェッセという。

 

ジェッセは、転向してきた時から日本語を流暢に話せた。日本語で喧嘩もしたし、授業も他の生徒と席を並べて普通に受けてたし。

 

理由は分からないけど、僕はブラジルから来た彼に、妙に心惹かれていたのを覚えている(恋愛的な意味ではなくね)。僕が、外国とは全く縁のない地域に住んでいながらにして、外国や外国語に興味を持ち始めたのも、とりわけ彼の影響が大きい。

 

ひとたび彼の家に遊びに行けば、彼は家族内でポルトガルを使ってコミュニケーションを取る。その話し方、雰囲気は、日本語の時のそれと全くの別物だった。

 

部屋の中に漂よう香水の匂い。日本のアパートでありながら、家具の配置や食器の種類、調味料が日本のとは全く違う感じ。一緒にバーベキューをした時なんか、炊飯器をそのまま河原に持って行っていたのを強烈に覚えている。

 

そんな彼と遊ぶのが、何よりも楽しかった。彼の紹介する海外の映画や音楽は、なんでもトライしたし、社交的な彼に付きしたがって、他の日系人の家によく遊びにに行ったりもした。当時はポルトガル語を全く分からなかったが、それでもポルトガル語独特のリズムは、本当に心地よく感じていた。

 

流暢に日本語を話す彼であったが、そんな彼でも外来語や擬音語を使う時には、どうしてもポルトガル語の癖が抜けなかった。

 

「おい、お前Men in Black観たことあるか?」って聞かれたとき、そのMen in Blackの発音が綺麗すぎて、なんだか笑ってしまったのを覚えている。映画中のカーチェイスの話になったら、日本語でどうタイピングしたら良いか分からない擬音語を使って、改造マフラーの音を再現していた。

 

日本語を使いながらも滲み出る、彼の母国ブラジルの色。

それを日々感じ取りながら思春期を過ごしたのが、僕の外国語学習へのモチベーションに他ならない。

 

ジェッセ、元気かなあ…。