高校教師の奮闘記録。

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この場ぐらい、本音で語らせてくれ。

ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは交雑していた。


高校時代、進学校で世界史を選択していた人は、世界史の教科書の一番最初の項目、「人類の進化」で、ジャワ原人や、ネアンデルタール人ホモ・サピエンスといった用語が載っていたことを覚えているかと思う。

高校時代の世界史の先生(以下H先生)は、この「人類の進化」の内容で、大学ノート2、3ページ分もびっしり埋めるぐらいの解説を、バーーっと展開した。高校入学し立ての、「地元じゃ負・け・知・ら・ず~♪(修二と彰青春アミーゴ」歌詞より 2005年リリース)」の私たちは、目が点になりながら、必死に板書をした。
今でも空で言える、「チャヘラントロプス・チャデンシス」、「ジンジャントロプス・ボイセイ」、「ホモ・エレクトゥス」、「ホモ・ルーデンス」といった学術名。多くの知識を授けて下さった、H大先生に感謝。


さて、「新人」と称されることの多い「ホモ・サピエンス」の前のヒトである「ネアンデルタール人」は、「旧人」と呼ばれる。と、私も高校時代に教わったが、最近になって研究が進み、以下の様な学説が主流だという。


約20万年前に現れ、4~3万年前に絶滅したと考えられる。かつては旧人に属する人類とされていがたが、現在の化石人類学では、ホモ属に属すと考えられており、学名はホモ=ネアンデルターレンシスと言われるようになっている。

https://www.y-history.net/appendix/wh0100-16.html

これ、個人的には結構衝撃的だ。
ネアンデルタール人も、今の人々と同じ、ヒト科・ホモ属だったとは…!

補足説明:
(カブトムシや蝶々にも、色々な種類がいるように、「ヒト」にも、かつては色々な種類が存在したと。それが、原因や諸説は様々だが、現存する人類としては、ホモ・サピエンスのみとなっている。白人や黒人、黄色人種といった違いは、単に環境や居住地域の違いに過ぎない。)


ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスよりも、脳の容量が大きかった事も明らかにされている。が、言語能力や狩猟技術は、ホモ・サピエンスよりも発達していなかったらしい。

ネアンデルタール博物館のネアンデルタール人



ネアンデルタール人の作ったとされる出土品から、彼らにも埋葬の文化があったり、身を着飾る装飾の文化があったとされる。それから、どうやら人食を行っていた様である。

コロナウイルスで重要化しやすい人、しにくい人は、ネアンデルタール人のDNAが関係していた!?>


さて、2022年のノーベル・生理学賞の受賞者のスバンテ・ペーボ博士は、このネアンデルタール人などのDNA解析を行っている研究者である。彼の研究結果から、私たちホモ・サピエンスにも、ネアンデルタール人のDNAが検出されるという。つまり、長らく共存関係にあったとされるネアンデルタール人ホモ・サピエンスの間に、交雑があったのだ。

そして、新型コロナウイルスネアンデルタール人からのDNAも、関連があるらしい。
以下、NHKの記事の抜粋である。


ペーボ博士は絶滅した人類の遺伝情報を解析する技術を確立し、4万年前のネアンデルタール人の骨に残っていた遺伝情報を詳しく調べて、現代の人類であるホモ・サピエンスと比較しました。

その結果、ホモ・サピエンスネアンデルタール人の遺伝情報の一部を受け継いでいることを突き止め、ホモ・サピエンスネアンデルタール人とで種が交わっていた可能性を明らかにしました。

さらに、絶滅した人類の遺伝情報は、標高の高い土地での生存を有利にしたり、ウイルスに対する免疫の反応の仕方に影響したりするなど、いまのわたしたちの体の仕組みをより深く理解するのにつながっています。

また、ペーボ博士は、それまで知られていなかった、絶滅した別の系統の人類、「デニソワ人」を発見したほか、「古ゲノム学」という新しい学問分野を切り開くなど、人類の進化の過程を理解する上で大きな貢献を果たしたとしています。

 

スバンテ・ペーボ博士は、ネアンデルタール人から受け継がれた遺伝子が、新型コロナウイルスの重症化リスクにも関わっていることを国際的な科学雑誌「ネイチャー」や「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しています。

沖縄科学技術大学院大学によりますと、ペーボ博士の研究チームは、2020年9月、新型コロナの患者3000人以上を対象に分析した結果、重症化リスクを増加させることが確認された遺伝子が、ネアンデルタール人から引き継がれたもので、この遺伝子を持つ人ではリスクが倍増すると「ネイチャー」に発表しました。

また、2021年2月には、新型コロナに感染して重症化した患者2200人余りの分析で、同じくネアンデルタール人から引き継がれた、別の遺伝子がある人では、逆に重症化が22%抑えられることを明らかにしたと「アメリカ科学アカデミー紀要」に報告しました。

大学のウェブサイトでペーボ博士は「およそ4万年前に絶滅したネアンデルタール人の免疫システムが、現代の私たちに良い意味でも悪い意味でも影響を与えているのは驚くべきことです」とコメントしています。

2022年のノーベル生理学・医学賞に「人類の進化」の研究者|ノーベル賞2022 NHK)より


これが事実なら、素直に驚くしかない。
私は昨年、新型コロナウイルス検査をして「陽性」となったが、
最も重症化した初日でさえ、熱は36.7℃までしか上がらず、2日目以降は平熱、体調も大したことなかった。

それを考えたら、もしかすると、私の中にもネアンデルタール人のDNAが宿っているのかもしれない。

今後明らかになるであろう研究結果を、ひそかに楽しみにしている。