『歴史に名を残すにはどうしたら良いですか?』
登山中は、50分を1ピッチとして、1ピッチ登ったら10分休憩を繰り返して山頂を目指す。そうすると、過度な疲労を抑える事が出来るし、目的地まで、あと〇ピッチと、行動時間目安を立てられるから便利だ。
1ピッチ目の休憩中、将来の夢の話になった。1人の生徒は、ゲームクリエイターになりたいとの事だった。幼稚園の頃から据え置き型のゲームが好きらしく、プログラミングを覚えて、ゲームを作りたいらしい。英語も必要になるだろうからと、英語の勉強にも余念がない。
もう一人の方は、特に将来の夢を語ることが無かった。ただ、登りながら、
『歴史に名を残すには、どうしたら良いですか?』
と質問された。口元を手で覆いながら話すのは、彼の癖だ。
なるほどと思った。その発想も良いなぁ。
今からなら、何か『世界最年少〇〇』を目指した方が手っ取り早いんじゃないかと、適当な返答をした。
企業に入る事や、大学に入る事が夢や目標になるより、何かカッコいいなぁと思った。
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道すがら、誰かが落としていったゴミを見かけたので、拾って、自分のポーチに入れた。
登山とは、自然の中に分け入る行為であり、登山そのものが自然を壊している一側面もあるから、せめて、ゴミの一つぐらい持ち帰る事で、弁解の余地を残させてほしい。
ゴミを持ち帰って、家の自室のゴミ箱に捨てた。
少し、自分の人生が豊かになった気がした。